映画と先入観と予備知識

先日、ハマさんと映画(「チェ」)の話をしたが、一緒に話せる人がいると映画が面白い。自分と違った視点が映画に幅を持たせてくれるからだ。それぞれの違った意見を認め合うこと (agree to disagree) ができれば、自分とは違った意見ももちろん歓迎です。アカデミー賞発表の頃になると、映画について語りたくなってくる。ちょうどいい区切りなので、映画のトピックを2つに分けて書いてみようと思う。 

1 映画と先入観と予備知識
2 オスカー前夜
 
まずは、「映画と先入観と予備知識」。
 
映画か本(原作)、どちらが先か。よく話題になる。話していて気付いたのは、(もちろん例外はあるが)たいてい本が好きな人は本が先、映画が好きな人は映画が先と言う。私はそれぞれの意見を尊重したい。
 
それから、映画と本は全く違った媒体なので、それぞれ独立して楽しめるということにも気付いた。というか、それぞれ楽しめる人は幸せだと思う。どちらが先にせよ、先入観が邪魔をする。もし、期待を裏切りたくなければ、先入観抜きで映画を観る方が、楽しみが倍増するような気がする。
 
ただ、ここで気を付けなくてはならないのは、先入観と予備知識は違うということだ。背景(歴史・地理等)に関する予備知識や人生経験は、映画を理解するうえで大いに役に立つので、日々精進する価値がある。多分、映画に限ったことではないだろう。もちろん、娯楽が目的である映画は、それほど予備知識がいるわけではいが。
 
それから、何年か後に同じ映画を観て、「ああ、こんなことを話していたのか」と思ったことが何度もあった。それは、原作を読んだから理解できたというよりは、たまたま似たようなことを体験したり、別の本を読んでいる時に同じような情報に遭遇したり、間接的な結果であることが多かったような気がする。できれば、先入観抜きで映画を楽しみたい。

le papillon

先日、65回ゴールデン・グローブ賞発表のことを書いて以来、いろいろなコメントやメッセージを受け取りました。ありがとう。その中でも特に反響の大きかった「潜水服は蝶の夢を見る」について少し。

ジャン=ドミニック・ボービーの原作、この命の賛歌とも言える感慨深い実話が発表されるのを前後して、ストーリーと作者のことについて、沢山のメディアで取り上げられていたのを覚えています。当時(10年ぐらい前)、アメリカに在住していたので、日本でどのように紹介されたのか分かりませんが、大きな感銘を受けました。素晴らしいストーリーです。

何と言いますか、紅葉を撮影していて思ったのですが、ある日、葉っぱに栄養が届かなくなって(死を宣告されて)、それでも、最期の力をふりしぼって、何と美しく輝くことができるのかと驚きました。このストーリーには、そんな思いがけないところの命の輝きを感じます。

また、監督のジュリアン・シュナーベル氏は、「バスキア」(1996年)等、視覚的表現のアート性等、感性豊かであることと、アメリカ人であることにもかかわらず、フランス語でフランス撮影を決行し、フランス人原作者への敬意が感じられます。もう少しで公開されますが、大変楽しみですね。

私の映画100選プラス(2007年版)

以前,好きな映画100本を,約1か月半かけて選んでみた。期限付き(平成18年1月15日まで)にして,納得がいこうがいきまいが,とりあえず選ぶことにした。もちろん,納得のいくリストが理想であったが,そうは簡単にいかなかった。

それまでの自分の映画鑑賞史でもあるわけだし,まだ観ていない映画の中に評判の高いものもある。どれだけ1か月半の間に確かめることができるのか? 無謀かつ楽しく苦しい自分探しの旅になった。しかも,一番の問題は私の記憶だ。結構いい加減なものだと気付く。

長い間観ていない映画を,もう一度観て確かめるのか? それとも記憶の記憶(どれ位インパクトがあったか)に頼るのか? 再度観てみると,印象が変わった作品も多い。もう卒業したものもあった。以前気付かなかったのに,味わいや深みが増した作品もある。私が変わったからに違いない。

この体験を通して,自分の観た映画でさえ,全て同じラインに並べて比べることは,ほとんど不可能であるということがわかった。記憶力の限界だ。面白そうな新しい映画がどんどん公開されるのも気になる。限られた時間に一体何ができる?

とりあえず,時空の1点で選ぶしかない。過去全般を網羅できなければ,未来でもない。ただ,現在進行形ということなら,選べるだろう。

以前も書いたが,このチャレンジは,お勧め映画でなければ,コンセンサス(誰からも認められる映画)のリスト作りでもない。自分にとって意味のあった映画を洗い出す作業だ。つまり,自己探求的な試みであり,個人的な区切りでもある。

もちろん,私の好きな映画を好きな人と出会えるのは嬉しいし,私の知らない世界(映画)を教えてくれるのは,本当にありがたい。つまり,ここから生まれる新たなる会話や発見が,一番の収穫といえる。

そこで,もう一度無謀なことをすることにした。以前,もし好きな映画100本を,再び選ぶことがあれば,好きな監督(もしくは脚本家)という括りで選んでみてはどうか考えた。つまり,私にとって,映画で最も注目する切り口だ。無謀かもしれんが,実行あるのみ。やってみることにした。

まずは,今,最も好きな監督さん6人。

1 クシシュトフ・キエシロフスキー監督
(1) 「デカローグ」(1988年)
(2) 「偶然」(1982年)
(3) 「アマチュア」(1979年)

2 クリストファー・ノーラン監督
(4) 「メメント」(2000年)

3 デレク・ジャーマン監督
(5) 「カラヴァッジオ」(1986年)

4 アン・リー監督(※後ほど,他のカテゴリにも登場)
(6) 「グリーン・デスティニー」(2000年)

5 テレンス・マリック監督
(7) 「天国の日々」(1978年)

6 アンソニー・ミンゲラ監督
(8) 「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年)

そして,頭の中を覗いてみたい監督さんと脚本家7人。

7 スティーヴン・ソダーバーグ監督・脚本
(9) 「セックスと嘘とビデオテープ」(1989年)

8 コーエン兄弟
 (10) 「バーバー」(2001年)

9 チャーリー・カウフマン(脚本)
(11) 「アダプテーション」(2002年)

10 ブライアン・シンガー監督
(12) 「ユージュアル・サスペクツ 」(1995年)

11 アレハンドロ・アメナーバル監督
(13) 「オープン・ユア・アイズ」(1997年)

12 ダーレン・アロノフスキー監督
(14) 「π」(1997年)

ここ数年注目している監督さんと脚本家で6人。

13 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督&ギジェルモ・アリアガ脚本
(15) 「バベル」(2006年)

14 スティーヴン・ダルドリー監督
(16) 「めぐりあう時間たち」(2002年)
(17) 「リトル・ダンサー」(2000年)

15 スティーヴン・ギャガン
(18) 「シリアナ」(2006年)監督・脚本
(19) 「トラフィック」(2000年)脚本

16 ウェス・アンダーソン監督・脚本
(20) 「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」(2001年)

17 リチャード・ケリー監督・脚本
(21) 「ドニー・ダーコ」(2002年)

次に,現役の監督さんで,私の中で既に不動のクラシック(古典)となりつつある作品群と,敬愛する監督さん15人。(もちろん,この他にも沢山いるのですが,とりあえず。)

18 スティーヴン・スピルバーグ監督(※後ほど,他のカテゴリにも登場)
(22)  「JAWS ジョーズ」(1975年)
(23)  「レイダース 失われた聖櫃(アーク)」(1981年) 
(24)  「カラーパープル」(1985年)

19 フランシス・フォード・コッポラ監督
(25) 「ゴッドファーザー」(1972年,PART II 1974年)

20 ロン・ハワード監督(※後ほど,他のカテゴリにも登場)
(26) 「ビューティフル・マインド」(2001年)

21 ロバート・ゼメキス監督(※後ほど,他のカテゴリにも登場)
(27) 「フォレスト・ガンプ/一期一会」

22 リドリー・スコット監督(※後ほど,他のカテゴリにも登場)
(28) 「グラディエーター」(2000年)

23 フィリップ・カウフマン監督
(29) 「存在の耐えられない軽さ」(1988年)

24 ラッセ・ハルストレム監督
(30) 「ショコラ」(2000年)

25 クリント・イーストウッド
(31) 「許されざる者」(1992年)
(32) 「ミスティック・リバー」(2003年)
(33) 「ミリオン・ダラー・ベイビー」(2004年)

26 マーティン・スコセッシ監督(※後ほど,他のカテゴリにも登場)
(34) 「タクシードライバー」(1976年)
(35) 「レイジング・ブル」(1980年)

27 ピーター・ウィアー監督
(36) 「いまを生きる」(1989年)

28 ガス・ヴァン・サント監督
(37) 「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(1997年,脚本ベン・アフレック&マット・デイモン)

29 ペドロ・アルモドバル監督・脚本
(38) 「オール・アバウト・マイ・マザー」(1998年)

30 ジェームズ・キャメロン監督・脚本(※後ほど,他のカテゴリにも登場)
 (39) 「タイタニック」(1997年)

31 サム・ライミ監督
(40) 「スパイダーマン」(2002年,2004年)

32 ジョナサン・デミ監督
(41) 「羊たちの沈黙」(1991年)

ロード・ムービー7本。

33 アルフォンソ・キュアロン監督
(42) 「天国の口,終わりの楽園」(2001年)

34 ヴァルテル・サレス監督
(43) 「セントラル・ステーション」(1998年)

35 キャメロン・クロウ監督・脚本
(44) 「あの頃ペニー・レインと」(2000年) 

36 マーティン・スコセッシ監督(※前出)
(45) 「アリスの恋」(1974年)

37 バリー・レヴィンソン監督
(46) 「レインマン」(1988年)

38 ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督
(47) 「リトル・ミス・サンシャイン」(2006年)

独自の世界を持つユニークな監督6人。

39 クエンティン・タランティーノ監督・脚本
(48) 「キル・ビル」(2003年,2004年)

40 リュック・ベッソン監督・脚本
(49) 「ニキータ」(1990年)

41 ロバート・ロドリゲス監督・脚本
(50) 「シン・シティ」(2005年)

42 ティム・バートン監督
(51) 「シザーハンズ」(1990年)

43 トム・ティクヴァ監督(※後ほど,他のカテゴリにも登場)
(52) 「ラン・ローラ・ラン」(1998年)

44 ジム・ジャームッシュ監督・脚本
(53) 「コーヒー&シガレッツ」(2003年)

ミュージカル9本!

45 ロブ・マーシャル監督
(54) 「シカゴ」(2002年)

46 バズ・ラーマン監督・脚本
(55)「ムーラン・ルージュ」(2001年)

47 カルロス・サウラ監督・脚本
(56) 「カルメン」(1983年)

48 ジム・シャーマン監督・リチャード・オブライエン原作
(57) 「ロッキー・ホラー・ショー」(1975年)

49 キャロル・リード監督 
(58) 「オリバー!」(1968年)

50 ジョージ・キューカー監督
(59) 「マイ・フェア・レディ」(1964年)

51 ロバート・ワイズ監督
(60) 「サウンド・オブ・ミュージック」(1964年)
(61) 「ウエスト・サイド物語」(1961年)

52 ジーン・ケリー監督・主演
(62) 「雨に唄えば」(1952年)

映画化された舞台作品から2本。

53 ハワード・デイヴィース監督・脚本
(63) 「コペンハーゲン」(2002年)

54 ヘクトール・バベンコ監督
(64) 「蜘蛛女のキス」(1985年)

原作も映画もよかった7本!

55 ピーター・ジャクソン監督,J.R.R. トールキン原作
(65) 「ロード・オブ・ザ・リング」三部作(2001年,2002年,2003年)

56 スティーヴン・キング原作,フランク・ダラボン監督
(66) 「ショーシャンクの空に」(1994年)

4 アン・リー監督(※前出),アニー・プルー原作,ラリー・マクマートリー脚本
(67) 「ブロークバック・マウンテン」(2005年)

57 デヴィッド・グターソン原作,スコット・ヒックス監督
(68) 「ヒマラヤ杉に降る雪」(1999年)

58 ジェームズ・アイヴォリー監督,カズオ・イシグロ原作
(69) 「日の名残り」(1993年)

59 ガブリエル・アクセル監督,アイザック・ディネーセン(カレン・ブリクセン)原作
(70) 「バベットの晩餐会」(1987年)

43 トム・ティクヴァ監督(※前出)
(71) 「パフューム ある人殺しの物語」(2006年)

60 エイミ・タン原作,ウェイン・ワン監督
(72) 「ジョイ・ラック・クラブ」(1993年)

61 ハーパー・リー原作,ロバート・マリガン監督
(73) 「アラバマ物語」(1962年)

宇宙・(近)未来・パラレルワールド・SF系から12本。

20 ロン・ハワード監督(※前出)
(74) 「アポロ13」(1995年)

21 ロバート・ゼメキス監督(※前出)
(75) 「コンタクト」(1997年)

22 リドリー・スコット監督(※前出)
(76) 「ブレードランナー」(1982年,フィリップ K. ディック原作)

62 アンドリュー・ニコル監督・脚本
(77) 「ガタカ」(1997年)

63 フランクリン J. シャフナー監督
(78) 「猿の惑星」(1968年)

64 ポール・ヴァーホーヴェン監督
(79) 「トータル・リコール」(1990年,フィリップ K. ディック原作)

30 ジェームズ・キャメロン監督・脚本(※前出)
(80) 「ターミネーター2」(1991年)

65 ウォシャウスキー兄弟
(81) 「マトリックス」(1999年)

66 アレックス・プロヤス監督・脚本
(82) 「ダークシティ」(1998年)

67 スタンリー・キューブリック監督
(83) 「2001年宇宙の旅」(1968年)

68 アンドレイ・タルコフスキー監督
(84) 「惑星ソラリス」(1972年)

69 ダニー・ボイル監督
(85) 「サンシャイン2057」(2007年)

戦争・コンフリクト・社会の不条理10本。

70 ロベルト・ベニーニ監督・脚本・主演
(86) 「ライフ・イズ・ビューティフル」(1998年)

18 スティーヴン・スピルバーグ監督(※前出)
(87) 「シンドラーのリスト」(1993年)
(88) 「プライベート・ライアン」(1998年)
(89) 「太陽の帝国」 (1987,J.G. バラード原作)

71 ダニス・タノヴィッチ監督
(90) 「ノー・マンズ・ランド」(2001年)

72 テリー・ジョージ監督・脚本
(91) 「ホテル・ルワンダ」(2004年)

22 リドリー・スコット監督(※前出)
(92) 「ブラックホーク・ダウン」(2001年)

73 フェルナンド・メイレレス監督
(93) 「シティ・オブ・ゴッド」(2002年)

74 トニー・ケイ監督・撮影
(94) 「アメリカン・ヒストリーX」(1998年) 

75 ジョン・シングルトン監督・脚本
(95) 「ボーイズ‘ン・ザ・フッド」(1991年)

コメディ4本。

76 ジョン・パトリック・シャンレー監督
(96) 「ジョー,満月の島へ行く」(1990年)

77 ハル・アシュビー監督
(97) 「チャンス」(1979年)

78 メル・ブルックス監督・脚本
(98) 「ヤング・フランケンシュタイン」(1974年)

79 ビリー・ワイルダー監督・脚本
(99) 「お熱いのがお好き」(1959年)

ケヴィン・コスナー主演作品から3本。

80 ケヴィン・コスナー監督
(100) 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(1990年)

81 ロン・シェルトン監督・脚本
(101) 「さよならゲーム」(1988年)

82 ケヴィン・レイノルズ監督・脚本
 (102) 「ファンダンゴ」(1985年)

不思議な男女の縁10本。

83 チェン・カイコー監督
(103) 「さらば,わが愛 覇王別姫」(1993年)

84 ウォン・カーウァイ監督
(104) 「花様年華」(2000年)

85 ウォーレン・ベイティ監督・脚本・主演
(105) 「天国から来たチャンピオン」(1978年)

86 ジョン・マッデン監督
(106) 「恋におちたシェイクスピア」(1998年)

87 デヴィッド・クローネンバーグ監督
 (107) 「デッドゾーン」(1983年,スティーヴン・キング原作)

88 ブルーノ・ニュイッテン監督・脚本
 (108) 「カミーユ・クローデル」(1988年)

89 ケヴィン・スミス監督・脚本
(109) 「チェイシング・エイミー」(1997年)

90 ローレンス・カスダン監督・脚本
(110) 「偶然の旅行者」(1988年)

91 ロブ・ライナー監督
(111) 「プリンセス・ブライド・ストーリー」(1987年)

92 マイク・ニコルズ監督(※後ほど,他のカテゴリにも登場)
(112) 「クローサー」(2004年)

アニメから3本。

93 ディズニー
(113) 「ダンボ」(1941年)

94 宮崎駿監督・原作
(114) 「もののけ姫」(1997年)

95 レイモンド・ブリッグス原作・ハワード・ブレイク音楽
(115) 「スノーマン」(1982年)

今,最も注目している新進気鋭の監督さん3人。

96 ベネット・ミラー監督
(116) 「カポーティ」(2005年)

97 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督
(117) 「善き人のためのソナタ」(2006年)

98 ダンカン・タッカー監督・脚本
(118) 「トランスアメリカ」(2005年)

そろそろ100人を超えるが,クラシック名作が,かなり抜けている。最近,観ていないため忘れたか,記憶が定かでないか,まだ観ていないか。悪しからず。

99 アルフレッド・ヒッチコック監督
(119) 「裏窓」(1954年)

100 デヴィッド・リーン監督
(120) 「アラビアのロレンス」(1962年)
(121) 「ドクトル・ジバゴ」(1965年)

101 黒澤明監督
(122) 「羅生門」(1950年)
(123) 「デルス・ウザーラ」(1975年)

102 ウィリアム・ワイラー監督
(124) 「ベン・ハー」(1959年)

103 ジョン・フォード監督
(125) 「怒りの葡萄」(1939年)

104 ヴィットリオ・デ・シーカ監督
(126) 「自転車泥棒」(1949年)

105 フランク・キャプラ監督
(127) 「素晴らしき哉,人生!」(1946年)

106 ルネ・クレマン監督
(128) 「太陽がいっぱい」(1960年)
(129) 「禁じられた遊び」(1952年)

107 ジャン=リュック・ゴダール監督
(130) 「気狂いピエロ」(1965年)

93 マイク・ニコルズ監督(※前出)
(131) 「卒業」(1967年)

108 ジョン・シュレシンジャー監督
(132) 「真夜中のカーボーイ」(1969年)

109 デニス・ホッパー監督・脚本・主演
(133) 「イージー・ライダー」(1969年)

110 ミロス・フォアマン監督
(134) 「カッコーの巣の上で」(1975年)

以上,平成19年9月29日現在。110人(プラス),134本分の映画です!!!

今好きな映画を選ぶとしたら

基本的に新しい映画を観ることにしています。もちろん,古い映画だって,私にとって新しければOK。

今好きな映画を選ぶとしたら,躊躇なく,クシシュトフ・キエシロフスキー監督の作品から数点選ぶでしょう。まずは,「デカローグ」(1988年)。そして,「アマチュア」(1979年)と「偶然」(1982年)。今の私の原点にある映画であり,これらの映画を観ると,私が映画に何を求めているのかよくわかると思います。

注目している現役の監督さんは,ざっと50人そこらいますが,キエシロフスキー直系のトム・ティクヴァ,ダニス・タノヴィッチ,そして,新大陸の親戚といった感じのスティーヴン・ギャガンやアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ等には,今後も大いに活躍して欲しいと思います。

それから,近年最も衝撃を受けたのは,クリストファー・ノーラン監督の「メメント」(2000年)。最高に面白かった! あれから7年。そろそろ(私にとって)「メメント」を超える作品が登場して欲しいものです。チャーリー・カウフマンの脚本(「アダプテーション」等)も面白い! よく気味の悪い映画,わけのわからない映画と言われるけれど,ダーレン・アロノフスキーの「π」(1997年)にも手ごたえを感じました。すみません,これらは,皆から認められる映画じゃないと思います。念のため。

この1年間で最も注目した新進気鋭の監督さんは,「カポーティ」のベネット・ミラーと,「善き人のためのソナタ」のフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。今後の活躍が楽しみ。作品数は多くないけれど,トッド・フィールドにも大いに才能を感じます。

これから観てみたい映画としては,スティーヴン・ソダーバーグ製作のMichael Clayton。いつもソダーバーグの着眼点は面白く,いろいろなコラボや実験的なプロジェクトが進行していますね。そう言えば,「セックスと嘘とビデオテープ」(1989年)も一種キエシロフスキー(「アマチュア」)が変成したもの(エンディング・視点の転換)とも取れます。

それから,アン・リー,アルフォンソ・キュアロン,ヴァルテル・サレスの感性も大好きで,アン・リー監督の最新作Lust, Caution(色・戒)の公開を楽しみにしています。

トッド・ヘインズのI’m Not There(ボブ・ディランがいっぱい?)も絶対観たい!注目している映画,まだまだ沢山ありますが,折々触れていくことにしましょう。

ケトルさんの映画100選

2年位前のことです。ブログ・チャレンジという企画のもと,好きな映画100本を選んでみようと試みました。お勧め映画100本(つまり,誰からも好かれそうな映画)ではなく,自分の好きな映画や自分にとって意味のあった映画を洗い出す,一種自己探求的な試みでした。

奇特なことに,ブログの友4人が協力してくれて,楽しいコラボ企画になりました。また,それぞれの個性豊かなリストを,ここでも紹介させていただきました。

ブログの友ケトルさんのFILM100が完成しましたので,トラックバックの許可をいただき,以下に転載させていただきますね。結果のみならず,丁寧にじっくりと選んでいったプロセスや,プレゼンテーションもわかりやすくて,ケトルさんから学ぶところが大きく,また,お人柄が偲ばれるリストだと思います。作品の選択がインターナショナルで,私の好きな映画も沢山入っています。珠玉の名作といいますか,心に残る小作品も混じっているところに好感を持ちます。本当にお疲れ様でした!!!大変よいリストだと思います。
 
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以下,ケトルさんが選んだ「FILM100」完成リストです。(国別、年代別)

001|天井桟敷の人々 Les Enfants Du Paradis
   1944年|フランス|監督:マルセル・カルネ(Marcel Carne)

002|死刑台のエレベーター Ascenseur pour L’echafaud
   1957年|フランス|監督:ルイ・マル(Louis Malle)

003|大人は判ってくれない Les quatre cent coups
   1959年|フランス|監督:フランソワ・トリュフォー(Francois Truffaut)

004|わんぱく戦争 La Guerre des Boutons
   1961年|フランス|監督:イブ・ロベール(Yves Robert)

005|女と男のいる舗道 VIVRE SA VIE
   1962年|フランス|監督:ジャン=リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)

006|軽蔑 LE MEPRIS
   1963年|フランス|監督:ジャン=リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)

007|男と女 UN HOMME ET UNE FEMME
   1966年|フランス|監督:クロード・ルルーシュ(Claude Lelouch)

008|まぼろしの市街戦 LE ROI DU COEUR  
   1967年|フランス|監督:フィリプ・ド・ブロカ(Philippe de Broca)

009|自由への幻想 LE FANTOME DE LA LIBERTE
   1974年|フランス|監督:ルイス・ブニュエル(Luis Bunuel)

010|アデルの恋の物語 LE ROI DU COEUR  
   1975年|フランス|監督:フランソワ・トリュフォー(Francois Truffaut)
011|ラルジャン L’Argent
   1983年|フランス・スイス|監督:ロベール・ブレッソン(Robert Bresson)

012|汚れた血 MOUVAIS SANG
   1986年|フランス|監督:レオス・カラックス(Leos Carax)

013|グランブルー LE GRAND BLEU
    1988年|フランス|監督:リュック・ベッソン(Luc Besson)

014|ふたりのベロニカ La Double Vid de Veronique
   1991年|フランス|監督:クシシュトフ・キェシロフスキ(Krzysztof Kieslowski)

015|パリ空港の人々 Tombes du Ciel
   1993年|フランス|監督:フィリップ・リオレ(Philippe Lioret)

016|素敵な歌を舟はゆく ADIEU, PLANCHER DES VACHES!
   1999年|フランス・スイス|監督:オタール・イオセリアーニ(Otar Iosseliani)

017|やさしい嘘 DEPUIS QU’OTAR EST PARTI…
   2003年|フランス・ベルギー|監督:ジュリー・ベルトゥチェリ(Julie Bertucelli)

018|階段通りの人々 A CAIXA
   1994年|ポルトガル・フランス|監督:マノエル・デ・オリヴェイラ(Manoel de Oliveira)

019|パリ、テキサス Paris, Texas
   1984年|西ドイツ・フランス|監督:ヴィム・ベンダース(Wim Wenders)

020|ベルリン・天使の詩 Der Himmel Uber Berlin
   1988年|西ドイツ・フランス|監督:ヴィム・ベンダース(Wim Wenders)

021|グッバイ・レーニン! GOOD BYE LENIN! 
   2003年|ドイツ|監督:ヴォルフガング・ベッカー(Wolfgang Becker)

022|灰とダイヤモンド Popiot I Diament
   1958年|ポーランド|監督:アンジェイ・ワイダ(Andrzej Wajda)

023|愛に関する短いフィルム Krotki film o milosci
   1988年|ポーランド|監督:クシシュトフ・キェシロフスキ(Krzysztof Kieslowski)

024|バベットの晩餐会 Babette’s Feast Babettes Goestebud
   1987年|デンマーク|監督:ガブリエル・アクセル(Gabriel Axel)

025|野いちご Smuktron-Stallet
   1957年|スウェーデン|監督:イングマール・ベルイマン(Ingmar Bergman)

026|ミツバチのささやき El Espiritu De La Colmena
   1973年|スペイン|監督:ヴィクトル・エリセ(Victor Erice)

027|道  LA STRADA
   1954年|イタリア|監督:フェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)

028|鉄道員 IL FERROVIERE
   1956年|イタリア|監督:ピエトロ・ジェルミ(Pietro Germi)

029|若者のすべて Rocco El Suoi Fratelli
   1960年|イタリア|監督:ルキノ・ヴィスコンティ(Luchino Bisconti)

030|山猫 IL GATTOPARDO
   1963年|イタリア|監督:ルキノ・ヴィスコンティ(Luchino Bisconti)

031|8 1/2 Otto e Mezzo
   1963年|イタリア|監督:フェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)

032|テオレマ TEOREMA
   1968年|イタリア|監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ(Pier Paolo Pasolini)

033|暗殺の森 Il conformista
   1970年|イタリア・フランス|監督本:ベルナルド・ベルトルッチ(Bernardo Bertolucci)

034|ひまわり I GIRASOLI
   1970年|イタリア|監督:ヴィットリオ・デ・シーカ(Vittorio De Sica)

035|木靴の樹 L’ ALBERO DEGLI ZOCCOLI
   1979年|イタリア|監督:エルマンノ・オルミ(Ermanno Olmi)

036|明日へのチケット TICKETS
   2005年|イタリア・イギリス|監督:エルマンノ・オルミ(Ermanno Olmi)/アッバス・キアロスタミ(Abbas Kiarostami)/ケン・ローチ(Ken Loach)

037|回転 The Innocents
   1961年|イギリス|監督:ジャック・クレイトン(Jack Clayton)

038|アラビアのロレンス Lawrence of Arabia
   1962年|イギリス|監督:デヴィッド・リーン(David Lean)

039|ケス Kes
   1969年|イギリス|監督:ケン・ローチ(Ken Loach)

040|時計じかけのオレンジ A Clockwork Orange
   1971年|イギリス|監督:スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick)

041|さらば青春の光 Quadrophenia
   1979年|イギリス|監督:フランク・ロダム(Franc Roddam)

042|未来世紀ブラジル Brazil
   1985年|イギリス・アメリカ|監督:テリー・ギリアム(Terry Gilliam)

043|コックと泥棒、その妻と愛人 The cook, the thief, his wife & her lover
   1989年|イギリス・フランス|監督:ピーター・グリーナウェイ(Peter Greenaway)

044|ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ ROSENCRANTZ AND GUILDENSTERN ARE DEAD
   1990年|イギリス|監督:トム・ストッパード(Tom Stoppard)

045|父の祈りを In the Name of The Father
   1993年|イギリス・アメリカ|監督:ジム・シェリダン(Jim Sheridan)

046|ビフォア・ザ・レイン BEFORE THE RAIN
   1994年|イギリス・マケドニア他|監督:ミルチョ・マンチェフスキー(Milcho Manchevski)

047|フォー・ウェディング FOUR WEDDINGS AND A FUNERAL
   1994年|イギリス|監督:マイク・ニューウェル(Mike Newell)

048|秘密と嘘 Secret and Lies
   1996年|イギリス|監督:マイク・リー(Mike Leigh)

049|フル・モンティ The Full Monty
   1997年|イギリス|監督:ピーター・カッタネオ(Peter Cattaneo)

050|リトルダンサー Billy Elliot
   2000年|イギリス|監督:スティーヴン・ダルドリー(Stephen Daldry)

051|ベン・ハー Ben-Hur
   1959年|アメリカ| 監督:ウィリアム・ワイラー(William Wyler)

052|街の灯 City Lights
   1930年|アメリカ|監督:チャーリー・チャプリン(Charles Chaplin)

053|欲望という名の電車 A Streetcar Named Desire
   1951年|アメリカ|監督:エリア・カザン(Elia Kazan)

054|十二人の怒れる男 12 ANGRY MEN
   1957年|アメリカ|監督:シドニー・ルメット(Sidney Lumet)

055|黒い罠 TOUCH OF EVIL
   1958年|アメリカ|監督:オーソン・ウェルズ(Orson Welles)

056|サイコ PSYCHO
   1960年|アメリカ|アルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock)

057|ウェストサイド物語 WEST SIDE STORY
   1961年|アメリカ|監督:ロバート・ワイズ(Robert Wise

058|博士の異常な愛情 Dr. Strangelove: or How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb
   1964年|アメリカ|監督:スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick)

059|バニシング・ポイント VANISHING POINT
   1971年|アメリカ|監督:リチャード・C・サラフィアン(Richard C. Sarafian)

060|ゴッド・ファーザーⅠ The godfather
   1972年|アメリカ|監督:フランシス・フォード・コッポラ(Francis Ford Coppola)

061|こわれゆく女 A Woman Under the Influence
   1974年|アメリカ|監督:ジョン・カサヴェテス(John Cassavetes)

062|ゴッド・ファーザーⅡ The godfatherⅡ
   1974年|アメリカ|監督:フランシス・フォード・コッポラ(Francis Ford Coppola)

063|カッコーの巣の上で One flew over the cuckoo’s nest
   |1975年|アメリカ|監督:ミロス・フォアマン(Milos Forman)

064|タクシードライバー Taxi Driver
   1976年|アメリカ|監督:マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)

065|オーメン THE OMEN
   1976年|アメリカ|監督:リチャード・ドナー(Richard Donner)

066|マンハッタン MANHATTAN
   1979年|アメリカ|監督:ウディ・アレン(Woody Allen)

067|グロリア GLORIA
   1980年|アメリカ|監督:ジョン・カサヴェテス(John Cassavetes)

068|E.T. E.T. The Extra Terrestrial
   1982 年|アメリカ|監督:スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)

069|トッツィー Tootsie
   1983年|アメリカ|監督:シドニー・ポラック(Sydney Pollack)

070|ストレンジャー・ザン・パラダイス Stranger Than Paradise
   1984年|アメリカ|監督:ジム・ジャームッシュ(Jim Jarmusch)

071|アマデウス AMADEUS
   1985年|アメリカ|監督:ミロシュ・フォアマン(Milos Forman)

072|コーラスライン A Chorus Line 
   1985年|アメリカ|監督:リチャード・アッテンボロー(Richard Attenborough)

073|存在の耐えられない軽さ The Unbearable Lightness of Being
   1988年|アメリカ|監督:フィリップ・カウフマン(Philip Kaufman)

074|忘れられない人 Untamed Heart
   1993年|アメリカ|監督:トニー・ビル(Tony Bill)

075|恋はデジャ・ブ GROUNDHOG DAY
   1993年|アメリカ|監督:ハロルド・ライミス(Harold Ramis)

076|ショーシャンクの空に The Shawshank Redemption
   1994年|アメリカ|監督:フランク・ダラボン(Frank Darabont)

077|ファーゴ Fargo
   1996年|アメリカ|監督:ジョエル・コーエン(Joel Coen)

078|セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ CECIL B. DEMENTED
   2000年|アメリカ|監督:ジョン・ウォーターズ(John Waters)

079|ゴスフォード・パーク GOSFORD PARK
   2001年|アメリカ|監督:ロバート・アルトマン(Robert Altman)

080|ムーラン・ルージュ MOULIN ROUGE!
   2001年|アメリカ|監督:バズ・ラーマン(Baz Luhrmann)

081|サイドウェイ SIDEWAYS
   2004年|アメリカ|監督:アレクサンダー・ペイン(Alexander Payne)

082|オリーブの林をぬけて ZIR-E DERAKHTAN-E ZEYTOON
   1994年|イラン|監督:アッバス・キアロスタミ(Abbas Kiarostami)

083|黄色い大地 黄土地 
   1984年|中国|監督:チェン・カイコー(陳凱歌)

084|山の郵便配達 那山 那人 那狗
   1999年|中国|監督:フォ・ジェンチィ(霍建起)

085|秋菊の物語 秋菊打官司
   1992年|中国・香港|監督:チャン・イーモウ(張藝謀)

086|大丈夫日記 大丈夫日記
   1988年|香港|監督:チョー・イェン(楚原)

087|欲望の翼 阿飛正傅
   1990年|香港|監督:ウォン・カーウァイ(王家衛)

088|the EYE[アイ] 見鬼
   2001年|香港・タイ|監督:オキサイド・パン(彭順)/ダニー・パン(彭發)

089|愛情萬歳 愛情萬歳
   1994年|台湾|監督:ツァイ・ミンリャン(蔡明亮)

090|羅生門  1950年|日本|監督:黒澤明

091|東京物語 1953年|日本|監督:小津安二郎

092|浮雲  1955年|日本|監督:成瀬巳喜男

093|砂の女  1964年|日本|監督:勅使河原宏

094|けんかえれじい  1966年|日本|監督:鈴木清順

095|男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎 1983年|日本|監督:山田洋次

096|家族ゲーム  1983年|日本|監督:森田芳光

097|台風クラブ 1985年|日本|監督:相米慎二

098|マルサの女 1987年|日本|監督:伊丹十三

099|シベリア超特急 1996年|日本|監督:MIKE MIZNO

100|打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 1996年|日本|監督:岩井俊二

 

第79回アカデミー賞発表

何と言っても,今回のアカデミー賞で注目の的は,マーティン・スコセッシ監督。期待は裏切られず,6度目の正直でした。1980年の「レイジング・ブル」に始まり,1988年の「最後の誘惑」,1990年「グッドフェローズ」がノミネートされましたが,受賞はかないませんでした。それから12年後,2002年の「ギャング・オブ・ニューヨーク」。その後は,2年毎にノミネートと,「アビエーター」(2004年)が続き,遂に今回の「ディパーテッド」で,監督賞のみならず作品賞もゲット!!!Finally! 脚色賞と編集賞を加えて4部門の受賞となりましたね。It’s BAAAAD!

主演男優・女優賞は期待通り,王様(フォレスト・ウィッテカー,「ラストキング・オブ・スコットランド」) と女王様(ヘレン・ミレン,「クィーン」)が君臨。助演女優は,ジェニファー・ハドソン(「ドリームガールズ」)と,まさにアメリカン・ドリーム・カム・トゥルー!!!

助演男優賞の行方は前出の演技に与えられる3賞に比べ,定かではありませんでしたが,「リトル・ミス・サンシャイン」のアラン・アーキン氏が射止めました。アカデミー賞は,1966年と68年にノミネート(共に主演男優賞)されて以来だそうですが,「キャッチ22」(1970年)のユサリアン,「シザーハンズ」(1990年)の父親,「ガタカ」(1997年)の刑事,「愛の神,エロス」(2004年)の精神分析医・職場の同僚など,印象に残る役を演じていました。「リトル・ミス・サンシャイン」は,オリジナル脚本賞も受賞しています。

それから,もう1つ話題になったのは,地球温暖化を扱ったドキュメンタリー「不都合な真実」に登場するアル・ゴア氏。2008年の大統領選に出馬?と,思わせぶりにステージを下りましたが…。もう1つのサプライズは,同作品が,「ドリームガールズ」からノミネートされた3曲を押しのけて,歌曲賞を受賞したことです。

視覚面では,「パンズ・ラビリンス」が,美術賞・撮影賞・メイクアップ賞の3部門で受賞し,ヒスパニック系が健闘しました。近年のアカデミー賞は,いろいろな文化的な背景を持つ人々に門戸が開かれ,これからも,多様な才能を生かした作品が登場してくれることが期待されます。

面白そうな映画,ありましたか?おひいきの作品,受賞しましたか?

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参照:

アカデミー賞公式サイト(英語)
第79回オスカー・ノミネート作品(現地時間2006年2月25日,時差のため日本時間26日発表)

http://oscar.com/oscarnight/winners/index

以下のリストは,公式サイトの記載順です。日本語タイトルが不明なものは,英語の原題を併記しました。

助演男優賞
アラン・アーキン 「リトル・ミス・サンシャイン」

視覚効果賞
「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」

長編アニメ賞
「ハッピー フィート」

短編映画(実写)賞
「ウエスト・バンク・ストーリー」(原題)West Bank Story

短編アニメ賞
「ザ・デニッシュ・ポエット」(原題)The Danish Poet

衣裳デザイン賞
「マリー・アントワネット」

メイクアップ賞
「パンズ・ラビリンス」

助演女優賞
ジェニファー・ハドソン 「ドリームガールズ」

短編ドキュメンタリー賞
「ザ・ブラッド・オブ・インザウ・ディストリクト」(原題)The Blood of Yingzhou District

長編ドキュメンタリー賞
「不都合な真実」

美術賞
「パンズ・ラビリンス」

作曲賞
「バベル」

音響賞
「ドリームガールズ」

歌曲賞
"I Need to Wake Up" 「不都合な真実」

音響効果賞
「硫黄島からの手紙」

外国映画賞
「善き人のためのソナタ」 (ドイツ)

編集賞
「ディパーテッド」

主演男優賞
フォレスト・ウィッテカー 「ラストキング・オブ・スコットランド」

撮影賞
「パンズ・ラビリンス」

主演女優賞
ヘレン・ミレン 「クィーン」

脚色賞
「ディパーテッド」

オリジナル脚本賞
「リトル・ミス・サンシャイン」

監督賞
マーティン・スコセッシ 「ディパーテッド」

作品賞
「ディパーテッド」

 

第79回アカデミー賞ノミネート作品が発表されましたね

公式サイトwww.oscar.comのリストをざっと見てみると,最多ノミネート作品は「ドリームガールズ」の8ですが,うち3つは歌曲賞(オリジナル曲)のようですね。「バベル」は,期待されていた菊地凛子さんのノミネートに加え,作品賞,監督賞,脚本賞と主要部門で健闘し,7つのノミネート。また,どちらの作品も,助演俳優のダブル・ノミネートと,サポート陣の強さが共通点のようです。ゴールデングローブ賞(受賞)およびノミネート路線,健在です。

6つのノミネート作品では,ヘレン・ミレンの主演女優賞候補を含む「クィーン」,そして,技術面で大いに評価された「パンズ・ラビリンス」(原題)。5つのノミネート作品は,「ディパーテッド」と「ブラッド・ダイアモンド」(原題)で,レオナルド・ディカプリオは,後者の方で主演男優賞の候補にノミネートされていますが,「ディパーテッド」の方も,作品賞,監督賞,脚本賞と主要部門で候補にあがっています。

4つのノミネート作品は,期待されていた「硫黄島からの手紙」,「リトル・ミス・サンシャイン」,「ノーツ・オン・ア・スキャンダル」(原題),そして,技術面では「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」。「硫黄島からの手紙」は,作品賞,監督賞,脚本賞と主要部門ノミネートで健闘していますし,「父親たちの星条旗」の2つのノミネート(音響)を加えると合計6デス!

サンダンス映画祭も開催中と,この時期,映画の話題に事欠きませんが,サンダンスで先取り掘り出し物「リトル・ミス・サンシャイン」,「ハーフ・ネルソン」が,アカデミー賞でも注目され,魔術師の世界を描いた作品2本「ザ・プレステージ」(原題)と「ザ・イリュージョニスト」(原題)もノミネートされていますね。是非とも観てみたいです。

個人的な印象としては,メキシコ出身の監督さんが大健闘しているということ。アメリカ在住時に,メキシコ人の友人や,メキシコ留学したアメリカ人とよく話すことがあったのですが,なかなか興味深い国です。7つのノミネート作品「バベル」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督。6つのノミネート作品「パンズ・ラビリンス」(原題)のギレルモ・デル・トロ監督。3つのノミネートを果たした「トゥモロー・ワールド」のアルフォンソ・キュアロン監督,そして長年キュアロン監督の撮影を担当しているエマニュエル・ルベッキもメキシコ出身ですね。これからも注目していくことにしましょう。

面白そうな映画,おひいきの作品,ありましたか?アカデミー賞の発表は,2007年2月25日(時差のため日本時間26日)だそうです。

 

ブログ2周年記念(5)これから観てみたい映画3

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参照:

アカデミー賞公式サイト(英語)
第79回オスカー・ノミネート作品(2006年1月23日発表)

http://www.oscar.com/nominees/?pn=list

以下のリストは,公式サイトの記載順です。日本語タイトルが不明なものは,初回のみ英語の原題を併記しました。

主演男優賞
レオナルド・ディカプリオ 「ブラッド・ダイヤモンド」
ライアン・ゴズリング 「ハーフ・ネルソン」(原題)Half Nelson
ピーター・オトゥール 「ヴィーナス」(原題)Venus
ウィル・スミス 「幸せのちから」
フォレスト・ウィッテカー 「ザ・ラスト・キング・オブ・スコットランド」(原題)The Last King of Scotland

助演男優賞
アラン・アーキン 「リトル・ミス・サンシャイン」
ジャッキー・アール・ヘイリー 「リトル・チルドレン」(原題)Little Children
ジャイモン・フンスー 「ブラッド・ダイヤモンド」
エディ・マーフィ 「ドリームガールズ」
マーク・ウォールバーグ 「ディパーテッド」

主演女優賞
ペネロペ・クルス 「ボルベール/帰郷」
ジュディ・デンチ 「ノーツ・オン・ア・スキャンダル」(原題)Notes On A Scandal
ヘレン・ミレン 「クィーン」
メリル・ストリープ 「プラダを着た悪魔」
ケイト・ウィンスレット 「リトル・チルドレン」(原題)

助演女優賞
アドリアナ・バラザ 「バベル」
ケイト・ブランシェット 「ノーツ・オン・ア・スキャンダル」(原題)
アビゲイル・ブレスリン 「リトル・ミス・サンシャイン」
ジェニファー・ハドソン 「ドリームガールズ」
菊地凛子 「バベル」

長編アニメ賞
「カーズ」
「ハッピー フィート」
「モンスター・ハウス」

美術賞
「ドリームガールズ」
「ザ・グッド・シェパード」(原題)The Good Shepherd
「パンズ・ラビリンス」(原題)Pan’s Labyrinth
「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」
「ザ・プレステージ」(原題)The Prestige

撮影賞
「ブラック・ダリア」
「トゥモロー・ワールド」
「ザ・イリュージョニスト」(原題)The Illusionist
「パンズ・ラビリンス」(原題)
「ザ・プレステージ」(原題)

衣裳デザイン賞
「カース・オブ・ゴールデン・フラワー」(原題,黄金花の呪い)Curse of the Golden Flower(中国語タイトル「満城盡帯黄金甲」,チャン・イーモウ監督です。確か,コン・リーの衣装が話題になっていましたっけ。)
「プラダを着た悪魔」
「ドリームガールズ」
「マリー・アントワネット」
「クィーン」

監督賞
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 「バベル」
マーティン・スコセッシ 「ディパーテッド」
クリント・イーストウッド 「硫黄島からの手紙」
スティーヴン・フリアーズ 「クィーン」
ポール・グリーングラス 「ユナイテッド93」

長編ドキュメンタリー賞
「デリバー・アス・フローム・イーヴィル」(原題)Deliver Us from Evil
「不都合な真実」
「イラク・イン・フラグメンツ」(原題)Iraq in Fragments
「ジーザス・キャンプ」(原題)Jesus Camp
「マイ・カントリー,マイ・カントリー」(原題)My Country, My Country

短編ドキュメンタリー賞
「ザ・ブラッド・オブ・インザウ・ディストリクト」(原題)The Blood of Yingzhou District
「リサイクルド・ライフ」(原題)Recycled Life
「リハーシング・ア・ドリーム」(原題)Rehearsing a Dream

編集賞
「バベル」
「ブラッド・ダイヤモンド」
「トゥモロー・ワールド」
「ディパーテッド」
「ユナイテッド93」

外国映画賞
「アフター・ザ・ウェディング」(原題)After the Wedding デンマーク
「デイズ・オブ・グローリー」(原題)Days of Glory」 アルジェリア
「善き人のためのソナタ」 ドイツ
「パンズ・ラビリンス」(原題) メキシコ
「ウォーター」(原題)Water カナダ

メイクアップ賞
「アポカリプト」(原題)Apocalypto
「もしも昨日が選べたら」
「パンズ・ラビリンス」(原題)

作曲賞
「バベル」
「ザ・グッド・ジャーマン」(原題)The Good German (※ジョージ・クルーニーの新作。昔のカメラで撮影したそうで,クラシック映画風です。)
「ノーツ・オン・ア・スキャンダル」(原題)
「パンズ・ラビリンス」(原題)
「クィーン」

歌曲賞
"I Need to Wake Up" 「不都合な真実」
"Listen" 「ドリームガールズ」
"Love You I Do" 「ドリームガールズ」
"Our Town" 「カーズ」
"Patience" 「ドリームガールズ」

作品賞
「バベル」
「ディパーテッド」
「硫黄島からの手紙」
「リトル・ミス・サンシャイン」
「クィーン」

短編アニメ賞
「ザ・デニッシュ・ポエット」(原題)The Danish Poet
「リフティッド」(原題)Lifted
「ザ・リトル・マッチガール」(原題)The Little Matchgirl
「マエストロ」(原題)Maestro
「ノー・タイム・フォー・ナッツ」(原題)No Time for Nuts

短編映画(実写)賞
「ビンタ・イ・ラ・グラン・イデア」(原題)Binta y la gran idea
「エラモス・ポコス」(原題)Éramos pocos
「ヘルマー&サン」(原題)Helmer & Son
「ザ・セイヴィアー」(原題)The Saviour
「ウエスト・バンク・ストーリー」(原題)West Bank Story

音響効果賞
「アポカリプト」(原題)
「ブラッド・ダイヤモンド」
「父親たちの星条旗」
「硫黄島からの手紙」
「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」

音響賞
「アポカリプト」(原題)
「ブラッド・ダイヤモンド」
「ドリームガールズ」
「父親たちの星条旗」
「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」

視覚効果賞
「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」
「ポセイドン」
「スーパーマン リターンズ」

脚色賞
「ボラット」(原題)Borat: Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan
「トゥモロー・ワールド」
「ディパーテッド」
「リトル・チルドレン」(原題)
「ノーツ・オン・ア・スキャンダル」(原題)

オリジナル脚本賞
「バベル」
「硫黄島からの手紙」
「リトル・ミス・サンシャイン」
「パンズ・ラビリンス」(原題)
「クィーン」

※タイトル別では,計58本の映画が各賞にノミネートされています。(公式サイト,英語)

http://www.oscar.com/nominees/?pn=films

…and Now, the Envelope Please

第64回ゴールデングローブ賞が発表されましたね。ほぼ噂や予測どおりの結果でしたが,「ドリームガールズ」が健闘し,ジェニファー・ハドソンが,助演女優賞を期待されていたケイト・ブランシェットを負かして,まさにアメリカン・ドリーム!同じくもう一人,「ボラット」(原題)のサシャ・バロン・コーエンもです。 

それでは,これから観てみたい映画にチェックを入れておきましょう。受賞作品の日本公開予定を,ざっと調べてみました。以下のリストは,既に公開されている映画を除いて,現時点の公開順です。

1/20 「ディパーテッド」
2/17 「ドリームガールズ」
春休み 「ハッピー フィート」
ゴールデンウィーク 「バベル」,「クィーン」

未定
「ザ・ラスト・キング・オブ・スコットランド」(原題)The Last King of Scotland
「ボラット」(原題)Borat: Cultural Learnings Of America For Make Benefit Glorious Nation Of Kazakhstan
「ペインテッド・ヴェール」(原題)The Painted Veil

公開中
「硫黄島からの手紙」 

公開済
「プラダを着た悪魔」
「カーズ」

 

ブログ2周年記念(3)これから観てみたい映画2
 
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参照:

ゴールデングローブ賞公式サイト(英語)
第64回ゴールデングローブ賞ノミネート・受賞作品のリスト
(2007年1月15日,時差のため日本時間16日発表)

http://www.hfpa.org/nominations/index.html

以下のリストは,公式サイトの記載順です。日本語タイトルが不明なものは,英語の原題を併記しました。なお,公式サイトには,受賞作品の記者会見の様子のビデオ・クリップ(動画)と,それぞれのノミネート作品へのリンクもあります。

最優秀作品賞(ドラマ部門) 「バベル」

最優秀主演女優賞(ドラマ部門) ヘレン・ミレン 「クィーン」

主演男優賞(ドラマ部門) フォレスト・ウィッテカー 「ザ・ラスト・キング・オブ・スコットランド」(原題)The Last King of Scotland

作品賞(ミュージカル・コメディ部門) 「ドリームガールズ」

主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門) メリル・ストリープ 「プラダを着た悪魔」

主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門) サシャ・コーエン 「ボラット」(原題)Borat: Cultural Learnings Of America For Make Benefit Glorious Nation Of Kazakhstan

助演女優賞 ジェニファー・ハドソン 「ドリームガールズ」

助演男優賞 エディ・マーフィ 「ドリームガールズ」

アニメ作品賞 「カーズ」

外国語映画賞 「硫黄島からの手紙」

監督賞 マーティン・スコセッシ 「ディパーテッド」

脚本賞 ピーター・モーガン 「クィーン」

音楽賞 「ペインテッド・ヴェール」(原題※)The Painted Veil 
(※サマセット・モーム原作の日本語タイトルは「五彩のヴェール」)

歌曲賞 “Song of the Heart”「ハッピー フィート」

 

Buzz!

第64回ゴールデングローブ賞発表(2007年1月15日,時差のため日本時間16日)間近になりましたね。今回はタイムリーな話題として,ゴールデングローブ賞ノミネート作品,ニューヨーク・タイムズ紙のアカデミー賞予測,口コミ等をもとに,これから観てみたい映画を選んでみました。

まずは,ゴールデングローブ賞のノミネート最多作品「バベル」。メキシコのアレハンドロ・イニャリトゥ監督は,一つの出来事をいろいろな視点,立場,場所から見るハイパーリンクな映画を作る監督さんの一人で,「アモーレス・ペロス」(1999年),「21グラム」(2003年),そしてこの作品の脚本を担当したギジェルモ・アリアガと共にノミネートされています。もちろん,菊地凛子さんのノミネートで盛り上がっています。今回は,日本,モロッコ,アメリカ,メキシコが舞台。 この手の(ハイパーリンクな)映画は嫌いという声も聞きますが,要チェックです!

そして,クリント・イーストウッド監督の「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」は,戦争で分断された人々を,映画を通して,それぞれの立場に立つことにより,人間のレベルで理解しようとした作品。1本の映画に両者の視点を盛り込まず,2本1対の映画でそれぞれのストーリーを丁寧に描くという企画は素晴らしく,歴史から学ぶキッカケを作ってくれています。既に観ましたが,2作一緒にもう一度(DVDで)観たい映画です。

クリント・イーストウッド監督のように,俳優であり監督であるトッド・フィールド氏の「リトル・チルドレン」(原題)が注目されています。監督デビュー作「イン・ザ・ベッドルーム」(2001年)は,運命の皮肉を扱った作品でしたが,演劇的にも秀でていて,大いに注目しました。前作もそうでしたが,住宅街の平凡の中の非凡というか,ありふれた日々の中にある切羽詰った閉塞感と転落のようなものをテーマにしているそうです。今回も素晴らしい演技(ケイト・ウィンスレット等)を見ることができるとのことで,要チェック!

演技面で話題になっているものから。ヘレン・ミレンの「クィーン」は,ダイアナ妃の事故死の頃の英国王室が描かれているそうですが,いつもながらミレンの演技は必見。同じく英国からは,老いゆく俳優を演じているピーター・オトゥールの「ヴィーナス」(原題)が注目されています。男優では,「ザ・ラスト・キング・オブ・スコットランド」(原題)で,ウガンダのアミン大統領を演じたフォレスト・ウィッテカーも,大いに話題になっていますね。

そして,レオナルド・ディカプリオがダブル・ノミネートを果たした「ディパーテッド」と「ブラッド・ダイアモンド」(原題)も要チェックですね。何と言っても,「ディパーテッド」はマーティン・スコセッシ監督の作品です。また,ペネロペ・クルスがノミネートされている「ボルベール /帰郷」は,スペインのペドロ・アルモドバル監督の作品に共通する女性賛歌ということで,是非観てみたいデス!

ノミネート常連ジュディ・デンチと,ケイト・ブランシェットの演技のバトルを見ることができるという「ノーツ・オン・ア・スキャンダル」(原題)も注目されていますね。この映画は,脚本でもノミネートされていますが,「クローサー」(2004年)のパトリック・マーバーの台本ということで,要チェック!文芸作品では,サマセット・モームの「五彩のヴェール」の映画化(「ペインテッド・ヴェール」原題)も観たいですね。

そうそう,レネー・ゼルウィガーの「ミス・ポター」(原題)は,『ちょっと,ぶっ飛んでるかも』とのことですが,ピーターラビットの作者の想像の世界を垣間見ることができるとのこと。それから,視覚的にいつも新鮮なダーレン・アロノフスキー監督ということで,期待していた「ファウンテン」(第19回東京国際映画祭出品作品)。『かなり,ぶっ飛んでいる』(西洋人的には,ついていけない)そうですが,輪廻転生・時空を超えた愛(永遠の愛)がテーマとのことで,東洋では受け入れるかしら。この2本,まぁ,想像力過多かもしれませんが,多分観るでしょう。ノミネートされている音楽がステキです♪

コメディーでは,陳腐なギャグに頼らずオリジナルと賞賛されているのは,「リトル・ミス・サンシャイン」。カリフォルニアへのディスファンクショナルな家族のロード・ムービーでもあります。そして,かなり品のない「ボラット」(原題)が,主演のサシャ・コーエンのキャラクター(『テロリストと間違えられそうな人が,堂々とバカバカしいことをやっている』)で押し切り,北米では大ヒット。とりあえず観てみましょうか。

外国語映画賞にノミネートされている映画から2本。現実の世界と想像の世界が交叉するダーク・ファンタジー「パンズ・ラビリンス」(原題)。特殊メーク出身の経歴を持つメキシコの監督さんギレルモ・デル・トロの作品で,視覚的に素晴らしいと聞いていますので是非。1940年代のスペインが舞台だそうです。そして,もう1本は「アポカリプト」(原題)。メル・ギブソンが監督した歴史もの。今回はマヤ文明だそうです。今回もバイオレントだそうですが,監督としてメル・ギブソンの才能が光るとのことで,要チェック!

今回のゴールデングローブ賞にノミネート作品のうち,俳優であり監督であるクリント・イーストウッド,メル・ギブソン,トッド・フィールドに加えて,もう一人,エミリオ・エステヴェスも「ボビー」(原題)の監督として注目されていますね。今でもアメリカではボビーと愛称で呼ばれるロバート・F・ケネディーが,1968年6月6日に暗殺されたアンバサダー・ホテルの人々に焦点を当てた映画だそうです。エステヴェス,監督,脚本,出演とマルチタレントぶりが伺えます。

ブロードウェー・ミュージカルの映画化「ドリームガールズ」は,豪華絢爛なプロダクションだそうですが,ビヨンセ・ノウルズの魅力,エディ・マーフィの熱演はもちろん,拾いものは,スター誕生TV番組「アメリカン・アイドル」で発掘されたジェニファー・ハドソン。スクリーンで開花した彼女の歌声が最高と評判です。

最後に,ゴールデングローブ賞にノミネートされていないけれど,口コミの評判から観てみたい映画を,いくつか選んでみました。まずは,もう一つの「冷血」,「インファマス」(原題 Infamous)。「カポーティー」の二番煎じ?否。トビー・ジョーンズがカポーティー,サンドラ・ブロックがハーパー・リーだそうです。それぞれのアプローチを見比べてみると面白いとのことで,是非とも観てみたいですね。

二人の魔術師のライバルのバトル「ザ・プレステージ」(原題 The Prestige)は,独自のストーリーの展開と,スマートな構成に定評のあるクリストファー・ノーラン監督の新作です。どのように映画を構築しているのか,楽しみです。そして,PKディック原作の「スキャナー・ダークリー」は,実写とアニメの融合というか,スタイルの面でも面白そうな試みです。

ミネソタを舞台にした佳作「スィートランド」(原題 Sweetland),アシュレイ・ジャッドが好演しているという「カム・アーリー・モーニング」(原題 Come Early Morning),アンソニー・ミンゲラ監督の知的な作品「こわれゆく世界の中で」,マギー・スミスやイギリスの芸達者な俳優で固めたコメディー「キーピング・マム」(原題 Keeping Mum)も,観てみたいと思っています。

面白そうな映画,ありましたか?この他にも,いい映画が沢山あることだと思います。口コミしましょう!!!

ブログ2周年記念(2)これから観てみたい映画1
 
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参照:

ニューヨーク・タイムズ紙のアカデミー賞予測(英語)

http://www.nytimes.com/imagepages/2007/01/07/movies/20070107_OSCAR_GRAPHIC.html
 
ゴールデングローブ賞公式サイト(英語)
第64回ゴールデングローブ賞ノミネート作品(2006年12月14日発表)

http://www.hfpa.org/nominations/index.html

以下のリストは,公式サイトの記載順です。日本語タイトルが不明なものは,英語の原題を併記しました。なお,公式サイトには,それぞれのノミネート作品へのリンクがあります。

作品賞(ドラマ部門)
1 「バベル」
2 「ボビー」(原題)Bobby
3 「ディパーテッド」
4 「リトル・チルドレン」(原題)Little Children
5 「クィーン」

主演女優賞(ドラマ部門)
1 ペネロペ・クルス 「ボルベール/帰郷」
2 ジュディ・デンチ 「ノーツ・オン・ア・スキャンダル」(原題)Notes on a Scandal
3 マギー・ギレンホール 「シェリーベイビー」(原題)Sherrybaby
4 ヘレン・ミレン 「クィーン」
5 ケイト・ウィンスレット 「リトル・チルドレン」(原題)Little Children

主演男優賞(ドラマ部門)
1 レオナルド・ディカプリオ 「ブラッド・ダイアモンド」(原題)Blood Diamond
2 レオナルド・ディカプリオ 「ディパーテッド」
3 ピーター・オトゥール 「ヴィーナス」(原題)Venus
4 ウィル・スミス 「幸せのちから」
5 フォレスト・ウィッテカー 「ザ・ラスト・キング・オブ・スコットランド」(原題)The Last King of Scotland

作品賞(ミュージカル・コメディ部門)
1 「ボラット」(原題)Borat
2 「プラダを着た悪魔」
3 「ドリームガールズ」
4 「リトル・ミス・サンシャイン」
5 「サンキュー・スモーキング」

主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)
1 アネット・ベニング 「ラニング・ウィズ・シザーズ」(原題)Running with Scissors
2 トニ・コレット 「リトル・ミス・サンシャイン」
3 ビヨンセ・ノウルズ 「ドリームガールズ」
4 メリル・ストリープ 「プラダを着た悪魔」
5 レネー・ゼルウィガー 「ミス・ポター」(原題)Miss Potter

主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)
1 サシャ・コーエン 「ボラット」(原題)Borat
2 ジョニー・デップ 「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」
3 アーロン・エッカート 「サンキュー・スモーキング」
4 キウェテル・イジョフォー 「キンキーブーツ」
5 ウィル・フェレル 「主人公は僕だった」

助演女優賞
1 アドリアナ・バラザ 「バベル」
2 ケイト・ブランシェット 「ノーツ・オン・ア・スキャンダル」(原題)Notes on a Scandal
3 エミリー・ブラント 「プラダを着た悪魔」
4 ジェニファー・ハドソン 「ドリームガールズ」
5 菊地凛子 「バベル」

助演男優賞
1 ベン・アフレック 「ハリウッドランド」(原題)Hollywoodland
2 エディ・マーフィ 「ドリームガールズ」
3 ジャック・ニコルソン 「ディパーテッド」
4 ブラッド・ピット 「バベル」
5 マーク・ウォールバーグ 「ディパーテッド」

アニメ作品賞
1 「カーズ」
2 「ハッピー フィート」
3 「モンスター・ハウス」

外国語映画賞
1 「アポカリプト」(原題)Apocalypto
2 「硫黄島からの手紙」
3 「善き人のためのソナタ」
4 「パンズ・ラビリンス」(原題)Pan’s Labyrinth
5 「ボルベール <帰郷>」

監督賞
1 クリント・イーストウッド(「父親たちの星条旗」)
2 クリント・イーストウッド(「硫黄島からの手紙」)
3 スティーヴン・フリアーズ(「クィーン」)
4 アレハンドロ・イニャリトゥ(「バベル」)
5 マーティン・スコセッシ(「ディパーテッド」)

脚本賞
1 ギジェルモ・アリアガ 「バベル」
2 ウィリアム・モナハン 「ディパーテッド」
3 トッド・フィールド,トム・ペロッタ 「リトル・チルドレン」(原題)Little Children
4 パトリック・マーバー 「ノーツ・オン・ア・スキャンダル」(原題)Notes on a Scandal
5 ピーター・モーガン 「クィーン」

音楽賞
1 「ペインテッド・ヴェール」(原題)The Painted Veil (サマセット・モーム原作の日本語タイトルは「五彩のヴェール」)
2 「ファウンテン」
3 「バベル」
4 「ノーマッド」(原題)Nomad
5 「ダ・ヴィンチ・コード」

歌曲賞
1 “A Father’s Way”「幸せのちから」
2 “Listen”「ドリームガールズ」
3 “Never Gonna Break My Faith”「ボビー」
4 “Song of the Heart”「ハッピー フィート」
5 “Try Not To Remember”「ホーム・オブ・ザ・ブレイブ」(原題)Home of the Brave

映画フォーラム第4夜

What’s Next?

ブログのお預け状態が続きましたが,その間に温めたアイデアの中から,是非とも実現したいトピックを2つ。

まずは,割と新しめの作品を核に,夏休みにちなんで,子ども向けの映画特集をしようと思っていました。夏休みは終わってしまいましたが,せっかく準備しましたので,書いてみようと思います。

そして,3か月ほど前に,映画の友BOOさんとの会話に登場した映画のテーマから。「変わる」ということ。経緯は,「変わらないことが大事」なのか,「(登場人物が)変わらない映画はつまらない」のかという,「二人日和」という映画にまつわる口コミ(賛否両論)がキッカケです。実際に観てから,感想を話そうということになりました。以下に,BOOさんからのコメント(命題)をまとめてみました。

・映画でも小説でも,登場人物が(ポジティブに何らか)「変わって」いくから感動がある
・この場合,「変わる」ということは,「成長」や「覚醒」という言葉に置き換えることができるかもしれない
・少しずつ変わっていく,少しずつ気付いていく主人公を見守る(観客・読者との接点の確立)

今では映画「二人日和」を観ましたが,「変わる」・「変わらない」というのは大変面白いトピックだと,一層感じます。いろいろなアイデアが湧いてきました。映画の題材としましては,「変わらない」というよりは,「変われない」悲劇の方が,もっと映画的ないし文学的かもしれませんね。そのようなわけで,ここでは,「変われない」ということに焦点を当ててみようと思います。

予定としては,こんな感じです。(アウトライン)

A. 子ども向けの映画から
   1. チャーリーとチョコレート工場 (映画2本と原作)
   2. オリバー・ツイスト (映画3本とTV番組に原作)
   3. ナルニアとCSルイス (映画2本)
     ※ここで,「変わる」というトピックに移行します。

B. 「変わる」・「変われない」
   1. 病気・死・状況の変化
     (「二人日和」,「永遠(とわ)の愛に生きて」,「スタンドアップ」等)
   2. 世界を変えるのか・自分が変わるのか 
     (「モーターサイクル・ダイアリーズ」,「Vフォー・ヴェンデッタ」等)
   3. 変われないことの代償 
     (「ブロークバック・マウンテン」等)
   4. 過去からの訪問者,そして家族
     (「ヒストリー・オブ・バイオレンス」,「ドニー・ダーコ」等)
   5. 運命に翻弄される・運命を生きる
     a. 女性として
       (「SAYURI」,「アンダーワールド」,「スタンドアップ」等)
     b. 社会的視点
       (「シリアナ」,「ミュンヘン」,「ジャーヘッド」,「ナイロビの蜂」等)
   6. 変わるもの・変わらないもの
       (「クラッシュ」,「こんばんは」等)
   7. その他

よろしければ,一緒に考えていきましょう。