第50回写真展 風薫る新緑の候
2007/05/24 4件のコメント
LIVEスペース写真展も50回目を迎えました。日本に帰国して2年半,なぜこんなに沢山の写真を撮ったのだろうかと,ふと考えてみると,見るもの全てが新鮮だったからだと感じます。結果的に,景色が当たり前になってしまう前に記録することができました。
よく聞かれるのは,それでも子ども時代を日本で過ごしているのだからという質問ですが,旅に出ると,写真を撮るような感じに似ているのかもしれません。外国で長年生活することによって,新たなる視点が加わったことも確かです。言葉で簡単に表せないことも,その時の視点をカメラで切り取ることはできます。日本の懐かしい景色,つまり記憶の中の日本と,現在進行形の日本の僅かなギャップが新鮮に映り,思わず沢山写真を撮ってしまったのだと思います。
例えば,街路樹。通勤途上で,毎日木々の変化を見ていますが,本当に面白い。昔よく通った道とは違いますし,若い木々が植樹され,微妙に景色が違っているはずです。普段は気が付かなくても,暫く離れていると確実に変わっている,そんな感じでしょうか。そして,木々の成長のように,時の流れに沿ってゆっくりと変化している。昔は何の木が植えられていたのか,そのうち調べてみようと思っています。
また,生まれ故郷の神戸にも何度か足を運びましたが,地震の再建等で街に新しい息吹に満ちています。時折,懐かしい古い建物や変わらぬ景色に出合いますが,それでも,位置関係など,子どもの頃は漠然としていたことも,「ああ,ここはこんな所だったのか」と新たな理解が加わることもあります。写真が,今の自分と昔の自分の橋渡しのような役目を担ってくれたのかもしれません。
さて,今回の写真ですが,今年は特に新緑が美しく,水面に燃える緑や,日々強くなる日差しの中で光輝く5月の景色から選んでみました。日本に帰国して,移り変わる季節の美しさ,そして,季節の循環性を強く感じます。
最後の数枚は,街路樹シリーズの続きで,菊池寛通りの温州みかんの花と,秋の紅葉と冬の木立を楽しませてくれるユリノキの花です。みかんの花の周りには柑橘系の爽やかな匂いが漂い,5月に咲く花々やツツジの甘い香りと共に,街中すっぽり薫りのブーケに包まれているようでした。
新緑が深緑になりつつある今日この頃,50回目の写真展の区切りとして,5月に撮影した写真をまとめてみました。