第60回写真展 梅花 ~春節に寄せて

寒い日が続きますが、梅の季節が訪れ、明日は旧暦のお正月、春節です。そこで、今回の写真展は、姿だけではなく、匂いも麗しい梅花(メイフォア)。中国でも愛されていると聞きます。

職場で私の隣に座っているのは、中国語担当の女性なのですが、翻訳の仕事で悩んでいるようで、ここ数日、かなり機嫌が悪く、ふさぎこんでいます。

一般的なアドバイスとして、まずは、受け手(この場合、日本人)にわかるように訳すこと、必要に応じて(日本語として)自然な表現に言い換える(言語的・文化的な咀嚼)こと、そして、できれば書き手の気持ちが通じるように訳してはどうかと話しました。それでも納得がいかないような表情なので、知っている数少ない中国語を使って具体的に話してみることにしました。

私「例えば、『熱烈歓迎』は、日本語だと『熱烈』がなくても十分通じるし、熱烈があると、かえって白々しくなるので、『熱烈に歓迎します』じゃなくって、『歓迎』だけでもいいし、『心から歓迎します』とか、そんな感じよ。」

彼女「そう。中国語の表現って激しいのよ。」

ここで、彼女の訳している文を、いくつか吟味してみましたが、なるほど、かなり激しい。ここまで言わなくてもといった感じで、直訳すると、まるでヘタな営業キャッチコピーのオンパレード。いや、決して宣伝文句ではないのですが。でも、これって、(原語では)熱意を込めて書いてくれたものなんでしょうし。何だか熱いものが伝わってくるのは確かですが、このままじゃ誤解を生みそう。

ここで、私の担当している欧米圏の「激しい」表現も紹介して、中国語だけではないと話します。翻訳の産みの苦しみといいますか、なかなかピッタリくる翻訳が見つからず、いつも悶々と悩みますが、パズルが解けたように、どんぴしゃりの表現が見つかることもあります。

私「それから、『新年快楽』は、『新年おめでとう』で、正月早々『快楽』って、誰も日本じゃ言わないでしょ。まぁ、密かに願望している人はいるかもしれないけど……」

ここで、やっと笑いが出ました。

そこで、とりあえず和訳して、一緒に日本語を校正してはどうかと提案しました。昼休みには、中国の春節(チュンチエ)について教えてもらい面白かったです。旧正月の年末年始に帰省すること、1週間ぐらいお休みになること、大晦日に紅白歌合戦のような国民的芸能番組(歌や漫才、民族舞踊等)が放送されること、水餃子は春節の食べ物だということ、そして、水餃子の「水」は調理法(煮たもの)で、中国では、普通、餃子を焼いて食べないこと、お正月に赤い紙のお札(春聯、チュンリェン)を飾ること等、彼女も文化交流ができたと楽しそうでした。久し振りの笑顔に安心しました。

春節をお祝いする国(中国、韓国、ベトナム……)の皆様、よい年をお迎えてください。新年快楽(シンニェン クヮイラー)! 新年好(シンニェンハオ)!