ダイアローグ第1夜

久しぶりのブログです。さて,どこから始めましょうか。まずは,先週末にお邪魔させていただいたTAKAMIさんのブログのトラックバックからいきましょう。

 

「恋愛、芸術、政治、ビジネス、母親… 話は尽きず、お泊りいただいて、日曜の夕方まで喋り続けました。」

 

これは,いつもながら最高ですね。お互いにアートという共通項があるのは有難く,分野は違えども,と言いますか,分野が違うので新鮮ですし,よい刺激になります。422日が23日に日付が変る頃に交わされた会話(ダイアローグ)をもとに,暫くブログを書いてみようと思います。

 

TAKAMIさんのコメントの中で興味深かったのは,「魂を抜く」こと。これは,以前から彼女の口にのぼっていた言葉なのですが,人間関係のバランスをとる際に,大いに役立つアドバイスだと感じます。人と衝突してまで,どうでもいいことまで我を通す必要がないことに気付いたと言えましょうか。人の話しをまずは聞いて,時には魂を抜いて嵐が去るのを待つ。特にダイアローグが断絶しそうな時に重宝します。

 

もちろんこれは,全てにおいて魂を抜くというわけではなく,自分にとって重要でないことに限りますね。また,重要なことでも,話しが進展しない場合は,ひとまず「魂を抜いて」流れに身を任せてみる。そして,大切なことは,とことん話す。ぶつかりあいながら生まれるものもあれば,自分の考えを覆すことから生まれる発見や,成長するチャンスでもあるわけですから。魂を抜くか,ぶつかり合うか,状況に応じて臨機応変に対応する。どちらからも,学ぶことがありますね。

 

そうそう,TAKAMIさんと話していて盛り上がった「第1回高松国際ピアノコンクール」の感想を簡単にまとめておきます。第一次審査から本選まで,全ての演奏を聴きました。

 

最終的には,モスクワ音楽院の大健闘でした。ラフマニノフとスクリャービンがゴールドメダルを分かち合った伝統にのっとり(?),第1位のパヴェル・ギントフ氏(ウクライナ出身)と2位のスタニスラフ・クリステンコ氏(ロシア出身)が卓越した演奏を聴かせてくれました。

 

ギントフ氏のリストの「ピアノ協奏曲第2番」,課題曲「屋島」,第三次審査で演奏したモーツァルトの「ピアノ協奏曲第20番」と高く評価されていましたが,第一次審査に登場した時から確かな手応えがありました。バランスのとれた安定した演奏,そして,プリズムのように光り輝く音色の美しさ。オーケストラとの相性の良さも抜群でした。

 

本選に残った6人のうち,最後から2番目に演奏したギントフ氏。演奏直後の休憩時間には,驚いたことに見知らぬ人々から話しかけられました。興奮状態で演奏の素晴らしさを語る人々。コンクールのために結成された堤俊作氏の率いるオーケストラと共に生み出された音。その響きに共鳴する観衆。日本で,しかもクラシックの生演奏を聴いて,このような熱い反応は初めてです。

 

第二位のクリステンコ氏は,ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第三番」を演奏しました。40分を超える大熱演。もちろん,映画ファンなら,「シャイン」の主人公がこの曲を弾くために,どれほどの犠牲を払って練習に打ち込んだか思い浮かべるかもしれませんね。そして,クリステンコ氏の「陰陽」(Yin and Yang)の片割れのごとく,ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第二番」を弾いたソフヤ・グルヤクさん(ロシア出身)は,第4位に入賞です。

 

クリステンコ氏と,グルヤクさんの音楽に対する厳しく真摯な姿勢が伝わってきました。同じように猫背でピアノに毅然と立ち向かう2人は,やはり最初に登場した時から目が離せませんでした。グルヤクさんは,パリに留学中とのことですが,ロシアのピアニストによるラフマニノフを,2曲続けて聴くことができたのには感激しました。

 

そして,このコンクールのシンデレラボーイ。王超(Chao Wang)氏です。最初,新進気鋭のピアニスト郎朗(Lang Lang)氏を彷彿する華麗なタッチで登場しましたが,段々自分独自の音が現れてきたのには驚きです。本選のショパンの「ピアノ協奏曲第二番」では素直で繊細な演奏を聴かせてくれました。まだあどけなさが残る16歳の少年が,皆の見守る中,まさにコンクール中に成長を遂げたといった感じです。堂々第三位に入賞しました。これからが楽しみです。

 

日本人の出場者は大変上手い人が多くて本当に素晴らしかったです。その中でも,特に印象に残ったのは,独自の音を持つ田中正也氏,そして,気持ちを込めて演奏してくれた丸山耕路氏。観客を思いやる演奏で幸せな気分にしてくれた近藤亜紀さん。甘美な独自の音色で至福の時を与えてくれた泉ゆりのさん。素敵な演奏をありがとう。是非とも,またいつか演奏を聴かせていただきたいものです。

第19回写真展 桜便り2

桜の写真追加しました!

「映画千夜一夜」のカテゴリ

ブログのカテゴリが増えてきましたので,以下にまとめておきます。

 

1.複数の映画を共通の糸で紡ぐ「比較対照」*

  (*映画千夜一夜の視点は,基本的に比較対照です)

2.比較文化「ローカル/ユニバーサル」

3.その名も「ロード・ムービー」

4.旬な写真の撮影に挑む「写真展」

5.皆さんとの映画情報交換の場「Grapevine 口コミ」

6.好きな100本の映画を選ぶ「映画百選チャレンジ」

7.皆さんと一緒に考える「映画フォーラム」

8.映画の原作に焦点を当てた「文芸作品」※

  (※ART&芸術家の人生」に統合)

9.アイデアや感想を記録する「映画メモ」

10.「SF系」映画の考察

11.映画の中の「愛のかたち」

12.雑談・息抜き・近況報告「インターミッション」

13.ブログのロード・マップ「羅針盤 初めての方へ」

 

「映画百選チャレンジ」では,2ヶ月間かけて100本の好きな映画を選んでみました。練り直したい箇所もありますし,完璧なリストとは言い難いのですが,コラボレーションに協力いただき映画ファン交流の場を持つことができて,個人的に大変意義のあるチャレンジでした。本当に楽しかったです。

 

映画百選チャレンジの結果,「映画フォーラム」,「映画メモ」,「SF系」,「愛のかたち」という映画のカテゴリが生まれました。加えて,「芸術・アーティストの人生」,「ドキュメンタリー考察」等,新カテゴリも計画中です。また,暫くの間お休みしていた「ロード・ムービー」と「文芸作品」を再開しようと思います。

 

基本的に「映画千夜一夜」は,映画ファンによる映画ファンのためのブログです。長年の海外での映画体験をもとに,ブログを通して新たな映画の楽しみ方を試行錯誤中。よろしくお願い致します。

 

そうそう,331日で日本での就職1年目を無事終えました!帰国後の大きな節目(マイルストーン)でしたので,ここに記しておきます。日本で通用するのかどうか不安でしたので,ちょっと感激です。

 

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参照(資料編): 前回の「羅針盤 初めての方へ」(第1回「私の映画百選チャレンジ」目録,1/23)以降のアウトラインです。御参考までに。

 

比較対照 

2/4 第6夜 ヘヴン in トリノ (「ヘヴン」2002年など)

 

「映画百選チャレンジ」コラボレーション

1/27 -kiwik-さんの「好きだ@映画」リスト

 

ローカル/ユニバーサル

2/8 第2夜 ベルリンの壁の向こう側で (「グッバイ,レーニン!」2003年)

2/17 第3夜 字幕にカルチャーショック (「バットマン ビギンズ」2005年)

2/23 第4夜 ボクシングに賭けるもの* (「シンデレラマン」2005年)

         *アンダードッグの証明(後発のアメリカ移民に課せられたもの)

 

映画の情報交換しましょう

2/1 第4夜 第78回アカデミー賞ノミネート作品発表

3/5 第5夜 アカデミー賞(予測)

3/7 第6夜 アカデミー賞(結果)

 

映画フォーラム

1/25 第1夜 映画館・DVDTV (「Bubble2006年,ソダーバーグ監督)

2/10 第2夜 劇場上映 vs. TV映画 「マルホランド・ドライブ」(2001年)

 

映画メモ

1/31 第1夜 「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年) 映画の中の映画

 

SF

2/18 第1夜 「宇宙戦争」(2005年) 人間の想像力の限界と創造力の可能性 

 

愛のかたち

3/8 第1夜 イントロ:トゥーランドット

3/15 第2夜 「Hero」(2002年)・「Lovers」(2004年) 

         形式美:チャン・イーモウ(張藝謀)監督

3/17 第3夜 「2046」(2004年)

         自然生成:ウォー・カーウァイ(王家衛)監督

3/22 第4夜 「グリーン・デスティニー」(2000年)

         表裏一体:アン・リー(李安)監督