第55回写真展 フロリダからの絵葉書

甘い金木犀の薫り漂い,当地でも木々が色付き始めました。赤,黄,オレンジ……,まるで魔法の絵筆のようですね。皆様,いかがお過ごしですか。

さて,今回の写真展は,フロリダから。もう少し夏の名残りを楽しむことにしましょう。 5組みの絵葉書に見立ててみました。最初のフォトアルバムは総括です。そして,その5枚の内容を,それぞれのアルバムにまとめてみました。冬場は,スノーバードとも呼ばれているアメリカ北東部やカナダから避寒に訪れる人々で賑わうセント・ピーターズバーグ,そして,タンパ湾地域。ベイ(湾)に守られた温暖でトロピカルな空と海の色を,お楽しみください。

1 「翼に乗って」
デトロイト経由で タンパに向かいます。デトロイトは曇り空で,紅葉が始まりはじめていましたが,フロリダの空は夏に逆行。タンパ湾の夕日です。写真に写っている真っすぐな橋が眼下に。橋の向こうはセント・ピーターズバーグ。ニックネームは,サンシャイン・シティです。

2 「セント・ピーターズバーグの街角から」
久しぶりに訪れたセント・ピーターズバーグ。新しいビルが,お馴染みの歴史的な建物と共に並んでいます。Old & New,まさに温故知新。ダウンタウンのウォーキング・ツアーはいかがでしょう。スペイン風のピンクの建物とトロピカルな色合いが目を引きます。ダウンタウンには,ベイ・ウォークというショッピングモールがあり,買い物,食事,映画,散策に便利。公園のスパニッシュ・モスは南部の風物詩。

とことで,フロリダ半島のメキシコ湾側(西)にあるというので,夕日を期待していたのですが,朝日の街なんですね。セント・ピーターズバーグは,メキシコ湾の中でもタンパ・ベイを東に臨み,海上に朝日が昇ります。

3 「ミュージアム」
今回の旅の目的は,美術館,博物館,ギャラリー,そして,マグネット・スクールの視察。まずは,大変充実しているダリ美術館から。個人コレクションを一堂に集めた美術館で,本国スペイン以外では一番の規模だとか。外のベンチもダリしていますね。

新聞小僧の銅像があるのは歴史博物館。民間の航空輸送,つまり旅客機の発祥,タンパとセント・ピーターズバーグが初飛行の地で,その模型(水上機)が飾ってあります。今思えば,短距離の飛行でしたが,ライト兄弟の初飛行(1903年12月17日)から,約10年後(1914年1月1日)に実現したわけです。博物館の前の駐車場で見つけたバニヤンの木(ガジュマル)は,気根が垂れ下がり,どんどん広がっていきます。

セント・ピーターズバーグから長い橋を渡りタンパへ。本場キューバ仕込み葉巻工場の街はイボール・シティです。食べ物も,音楽も,ライフスタイルも,キューバ文化の影響が強く,葉巻工場や職人さんの集合住宅を残した歴史地域が保存されています。葉巻きづくりは基本的に手作業で,その昔は工場の角に高イスが置いてあり,朗読係りがいたそうです。監督用ではなく,お話しを読んだり,ニュースを伝えたりしたそうです。

さて,写真はありませんが,訪れたマグネット・スクール(※マグネット,磁石のように優秀な生徒を学区全域から集める独自のカリキュラムを持つ公立学校)のことを少し。ハイテク系のハイスクールから,理数系の小中一貫教育,アート系の学校,そして,演芸・芸術系のアフタースクール・プログラムを見学しました。生き生きとした子どもたちの姿が印象的でした。

ハイテク系のマグネット・スクールは,2年前に来日したキャメロン君の母校で,訪問を楽しみにしていましたが,ニューズウィーク誌で本年度全米トップ校第24位にランキングされている大変優秀な高校です。プロ顔負けのTVプロダクションから,サーバー管理・システム構築(コンピューター),科学の実験まで,それぞれの才能と豊かな創造力を発揮する機会を与えられていました。日本語の個人レッスンを受けているということで,学校を案内してくれたエヴァン君は,ICUに進学が決まっているとのこと。アメリカで未来の後輩に出会ったなんて最高!

芸術系のマグネット・スクール(公立小学校)は,音楽,美術,そして演劇まで,あらゆるアートが授業に導入(infusion)されていて,能力を伸ばすユニークな授業を展開していました。能力の有無にかかわらず,希望する子どもを受け入れるという方針で,本人の「やってみたい」という動機を大切にしていました。楽しそうに勉強する生徒と,先生方の熱意が大変印象的でした。

4 「ウォーターフロント」
海岸通りを歩いてみましょう。海に1 km弱突き出したピア(桟橋)は,セント・ピーターズバーグのランドマーク。逆ピラミッド型の建物の中に水族館やレストランがあります。ゆっくり潮風に吹かれながら歩くもよし,無料のトローリーバスも出ています。南国の風情があります。夕方の海はうっすらピンクに染まり,ピンクの建物にマッチします。1920年代の歴史的建物を残したヴィノイ・ホテルのベランダで,海を眺めながらモヒートで乾杯。

5 「ペリカン」
ピア周辺で見つけたペリカンたち。よく見ると表情豊かで,どこか原始的。飛ぶ姿はプテラノドン?カッショクペリカン(Brown Pelican)は,フロリダやアメリカ南部のシンボルです。

(アメリカからの絵葉書 その1)

NOVAのとばっちり

本日こそと思いつつ,なかなかブログを更新できず,毎日気になっていたのですが,先ほど仕事から帰宅したばかり。また見送るのはイヤなので,事情を少し書いておきますね。

今日の午後,今週末のイベントの準備をしていたところ,NOVAが会社更生法の申請をしたため路頭に迷った外国人7人から相談を受け,話しを聞き,相談に乗ってくれそうな人や専門家に連絡したり,面談できるよう同行して通訳したり,事情を説明したり。これも間接的な被害といえるのでしょうか。しかしながら,彼ら彼女らの立場を思うと,放っておけませんでした。

今日は,あまりにも疲れているので,また後日にしますね。

アメリカ訪問

突然ですが,10日間ばかりアメリカに行ってきました。昨夜,帰国したばかりです。

長年住み慣れたアメリカは,ほぼ3年ぶり。変わったところもあるけれど,3年間の変化は緩やかなもので,一瞬にしてギャップが埋まったのは不思議なものでした。

今回の旅は,前半は仕事絡み,後半はプライベートだったのですが,ギリギリまで最終化せず,事前に周知できず残念でした。(連絡できなかった方,ごめんなさい。)それでも,親友たちが急遽集まってくれて,楽しい一時を過ごすことができました。写真を沢山撮ってきたので,そのうちアップしますね。

映画は,往復の飛行機の中で,割と最近公開されたもの6本ほど観ましたが,何とか映画館で1本観ることができました。ラッセル・クロウとクリスチャン・ベール出演の「3:10 to Yuma」(原題,3時10分発ユマ行き)という映画で,「決断の3時10分」(1957年)という西部劇のリメイク。脇役も素晴らしく,例えば,ピーター・フォンダは渋かったです。最初は典型的な西部劇かと思っていたのですが,白黒はっきりしないラインが入り乱れ,途中からの展開が特によかったと思います。

それでは,詳しくは後ほど。本日,これから出勤しますので,とりあえず,ただいま~!

第54回写真展 菊池寛を訪ねて

本日はテレビ撮影の収録があり,ロケ地に向かう車中,青々としたアメリカ楓の並木道に,小さな紅や黄色のスポットを見つけ,「もう直ぐ紅葉が始まるよ」と,ジャッキーさんに話します。彼女は年中暖かいフロリダから来ているので,紅葉を見るのは子どもの時以来と,瞳を輝かせて秋の印を探します。

ジャッキーさんに,菊池寛や「父帰る」の銅像を紹介し,郷土の作家について話したところ,是非とも「父帰る」を読んでみたいとのこと。菊池寛の戯曲です。ちょうど親友ハマさんが読んだばかりと聞き,どこで手に入れられるか聞いてみました。

この機会に,私も読んでみることにしました。一幕物の短く簡潔な作品は大変面白くて,一気に読んでしまいました。設定は,南海道の海辺の小都市と,ぼかしていますが,築港とか馴染みのある地名が登場したり,90年前に書かれた作品とはいえ方言もわかりやすく,菊池寛の出身地である高松が重なります。家族を置いて家を出た父親との再会の場面,劇的瞬間です。

不肖の息子という言葉はありますが,まさに真面目な息子たちに似ても似つかぬ不肖の父。時は夕暮れ。20年ぶりの帰宅に,温かく迎え入れようとする者,許せない者,戸惑う者。そして,相変わらずの父。いろいろな方向にバランスを崩しながら,話が展開します。一読の価値があると思います。

ジャッキーさんや,ジェシカさんを案内したおかげで,私も菊池寛の作品を読むことができました。菊池寛の初期の戯曲や短編は,視点の転換が面白く,約120年前に生まれた作家に,まるでタイムトラベルして出会えたような,新鮮な衝撃を覚えました。

写真は,高松市立中央公園(菊池寛通りと中央通りの角)にある菊池寛の銅像,そして,「父帰る」の銅像群,菊池寛生家跡,菊池寛の通った四番丁小学校に咲いていた彼岸花。最後は,お馴染みの公園の猫たち。夏祭りの頃から,あまり見かけなくなったので,どうしているのかなぁと思っていたのですが,菊池寛の銅像の写真を撮っていると,いつものベンチに帰って来ていました。

直ちゃん

昨夜,仕事の帰り。電車に乗り遅れた。改札口に向かわず,明るく照明された駅ビルのベンチに腰をおろした。暗い穴ぐら(駅)に降りていく気がしなかったからだ。

暑い日が続いた9月も,10月に入る数日前から涼しくなり,温度を確かめると,10度位下がっている。寒くなると,夕方の暗さを益々実感する。しかも,早く帰る予定が,職場で引きとどめられて,外はすっかり暮れてしまっていた。

駅デパートの前で,せめて人口の光の中にいることにしよう。そうしていると,誰かが声をかけてくれた。高校生時代のバンドで一緒だった直ちゃんだ。

ここで,この時間に会える確率って,一体どれ位のものだろうと考える。しかも夕方の人混みのなかで,見つけてくれたなんて。ちょっと感激。そのうえ,車で来ているから,送ってくれるという。寒くなると,人の温かさが身にしみる。ありがとう!