le papillon

先日、65回ゴールデン・グローブ賞発表のことを書いて以来、いろいろなコメントやメッセージを受け取りました。ありがとう。その中でも特に反響の大きかった「潜水服は蝶の夢を見る」について少し。

ジャン=ドミニック・ボービーの原作、この命の賛歌とも言える感慨深い実話が発表されるのを前後して、ストーリーと作者のことについて、沢山のメディアで取り上げられていたのを覚えています。当時(10年ぐらい前)、アメリカに在住していたので、日本でどのように紹介されたのか分かりませんが、大きな感銘を受けました。素晴らしいストーリーです。

何と言いますか、紅葉を撮影していて思ったのですが、ある日、葉っぱに栄養が届かなくなって(死を宣告されて)、それでも、最期の力をふりしぼって、何と美しく輝くことができるのかと驚きました。このストーリーには、そんな思いがけないところの命の輝きを感じます。

また、監督のジュリアン・シュナーベル氏は、「バスキア」(1996年)等、視覚的表現のアート性等、感性豊かであることと、アメリカ人であることにもかかわらず、フランス語でフランス撮影を決行し、フランス人原作者への敬意が感じられます。もう少しで公開されますが、大変楽しみですね。

ランチタイム

昨日の午前中、ジャッキーさんと、いくつかの翻訳プロジェクトの打ち合わせをしました。ちょうど、お昼になったので、一緒にランチすることにしました。職場を出て、近くのカフェに向かって歩いていると、誰かが声をかけてくれるじゃないですか。友人(atatachan)です。こんな時に、ここで会える確立ってどれ位?しかも、3人揃うのは、西村記人展のオープニング以来ですから、幸運な遭遇と、彼女も誘って3人でランチしました。

冬休みにアメリカに帰省したこと、お正月会で振袖を着たこと、着物リフォームや和裁を習っていること(今はNARUTOに登場するキャラクターのコスチューム作成中)、春休みには家族が来日すること、今後の進路(医学部への進学)のこと等々会話に花が咲き、楽しい一時があっという間に過ぎました。

すかさず、atatachanから、医学部の学生さんが、こんなこと(一年間の日本滞在)していて、いいのと質問。アメリカの医学部のことや、学生時代に一年間海外に出て(junior year abroad、伝統的には大学3年目あたりによく実行)自分探しをすることを話しました。もちろん、アメリカの医学部も競争が激しく、他人を蹴落とそうとする人もいるわけですが、できれば、このように経験を積み人間性の豊かな人が、お医者さんになってくれるといいですね。

第65回ゴールデン・グローブ賞

1月13日(現地時間)に、今年のゴールデン・グローブ賞が発表されました。脚本家組合のストの影響で授賞式は中止、TV部門の発表も含めて、史上最短32分の発表とスピーディ!既に日本で公開された作品もありますが、全体的に今後の映画観賞の参考になるので、結果を少しアナライズしてみましょう。

今回の受賞は一つの作品に集中することなく、複数の受賞は、2部門の「つぐない」、「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」、「潜水服は蝶の夢を見る」、「ノーカントリー」と、分散しています。

その後発表された英国アカデミー賞では、「つぐない」、そして、「ノーカントリー」、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」が有力候補。その他の賞のノミネートや発表も含めて、本家アカデミー賞(米国)の予測も出ていますが、個人的なコメントをいくつか書きとめておくことにしましょう。

まずは、「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」。ドラマ部門で、ジュリー・クリスティが主演女優賞を受賞していますが、サラ・ポーリー(カナダ)の長編監督デビュー作品で、しかも、カナダのチェーホフと絶賛されている女流作家アリス・マンローの短編(The Bear Came Over the Mountain)が原作。かなり注目です。

サラ・ポーリーは女優として、ジュリー・クリスティと何作か共演していますが、あまり目立たないけれど良質な作品を選択しているところに好感が持てます。ジュリー様は相変わらず気品あふれ、美しく年を重ねていますね。「ドクトル・ジバゴ」(1965)のラーラ、「華やかな情事」(1968)のペチュリア、「天国から来たチャンピオン」(1978)等々、忘れられません。女性として憧れます。なお、マンローの原作は、カナダ人の親友がプレゼントしてくれましたが、日本でも広く紹介されるといいなぁと思います。じわじわっと波及効果あれ!

それから、文芸作品では、もちろん「つぐない」に注目です。ジョー・ライト監督の前作「プライドと偏見」(2005年)では、みずみずしい感性を発揮し、長年愛され続けているジェーン・オースティンの原作を映画として、美しい作品に仕上げていましたので、楽しみにしています。

もちろん、コーエン兄弟監督の「ノーカントリー」、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」も楽しみです。再びデヴィッド・クローネンバーグ監督とヴィゴ・モーテンセンが組んだ「イースタン・プロミシズ」(原題)(Eastern Promises)も。(多分これらの作品は、万人向けというわけじゃないでしょうか。)

それでは、以下、結果をメモしておきますね。

作品賞:ドラマ部門
受賞;「つぐない」(Atonement)
ノミネート;
「アメリカン・ギャングスター」(American Gangster)
「イースタン・プロミシズ」(原題)(Eastern Promises)
「グレート・ディベーターズ」(原題)(The Great Debaters)
「フィクサー」(Michael Clayton)
「ノーカントリー」(No Country for Old Men)
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(There Will Be Blood)

作品賞:ミュージカル・コメディ部門
受賞;「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」
ノミネート;
「アクロス・ザ・ユニバース」(原題)(Across the Universe)
「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」(Charlie Wilson’s War)
「ヘアスプレー」
「ジュノ」(Juno)

主演男優賞:ドラマ部門
受賞;ダニエル・デイ=ルイス(「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」)
ノミネート;
ジョージ・クルーニー(「フィクサー」)
ジェームズ・マカヴォイ(「つぐない」)
ヴィゴ・モーテンセン(原題「イースタン・プロミシズ」)
デンゼル・ワシントン(「アメリカン・ギャングスター」)

主演女優賞:ドラマ部門
受賞;ジュリー・クリスティ(「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」)
ノミネート;
ケイト・ブランシェット(「エリザベス:ゴールデン・エイジ」)
ジョディ・フォスター(「ブレイブ ワン」)
アンジェリーナ・ジョリー(「マイティ・ハート/愛と絆」)
キーラ・ナイトレイ(「つぐない」)

主演男優賞:ミュージカル・コメディ部門
受賞;ジョニー・デップ(「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」)
ノミネート;
ライアン・ゴズリング(「ラース・アンド・ザ・リアル・ガール」(原題 Lars and the Real Girl)
トム・ハンクス「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」
フィリップ・シーモア・ホフマ(原題 The Savages)
ジョン・C・ライリー(原題 Walk Hard: The Dewey Cox Story)

主演女優賞:ミュージカル・コメディ部門
受賞;マリオン・コティヤール(「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」)
ノミネート;
エイミー・アダムス(「魔法にかけられて」)
ニッキー・ブロンスキー(「ヘアスプレー」)
ヘレナ・ボナム=カーター(「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」)
エレン・ペイジ(「ジュノ」)

助演男優賞
受賞;ハビエル・バルデム(「ノーカントリー」)
ノミネート;
ケイシー・アフレック(「ジェシー・ジェームズの暗殺」)
フィリップ・シーモア・ホフマン(「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」)
ジョン・トラヴォルタ(「ヘアスプレー」)
トム・ウィルキンソン(「フィクサー」)

助演女優賞
受賞;ケイト・ブランシェット(「アイム・ノット・ゼア」)
ジュリア・ロバーツ(「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」)
シーアシャ・ローナン(「つぐない」)
エイミー・ライアン(原題 Gone Baby Gone)
ティルダ・スウィントン(「フィクサー」)

監督賞
受賞;ジュリアン・シュナーベル(「潜水服は蝶の夢を見る」)
ノミネート 
ティム・バートン(「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」)
コーエン兄弟(ジョエル&イーサン)(「ノーカントリー」)
リドリー・スコット(「アメリカン・ギャングスター」)
ジョー・ライト(「つぐない」)

脚本賞
受賞;「ノーカントリー」 コーエン兄弟(ジョエル&イーサン)
ノミネート
「つぐない」 クリストファー・ハンプトン
「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」 アーロン・ソーキン
「潜水服は蝶の夢を見る」 ロナルド・ハーウッド
「ジュノ」 ディアブロ・コーディ

歌曲賞
受賞;「イントゥ・ザ・ワイルド」(原題)Into the Wild
ノミネート
「魔法にかけられて」
「グレース・イズ・ゴーン」(原題)Grace Is Gone
「ラブ・イン・ザ・タイム・オブ・コレラ」(原題)Love in the Time of Cholera
「ウォークハード」(原題)Walk Hard: The Dewey Cox Story

音楽賞
受賞;「つぐない」
ノミネート
「イースタン・プロミセズ」(原題)
「グレース・イズ・ゴーン」(原題)
「イントゥ・ザ・ワイルド」(原題)Into the Wild
「君のためなら千回でも」

長編アニメ賞
受賞;「レミーのおいしいレストラン」
ノミネート
「ビー・ムービー」
「ザ・シンプソンズ MOVIE」

外国語映画賞
受賞;「潜水服は蝶の夢を見る」
ノミネート
「4ヶ月、3週と2日」
「君のためなら千回でも」
「ラスト、コーション」
「ペルセポリス」

第59回写真展 Year of the Mouse

いつもブログを訪問していただき、ありがとうございます!!!
アメリカから帰国して3年になります。見るも聞くも新鮮な日々でした。
その3年間をブログや写真に記録できて本当によかったと思います。 

思えば反省点も沢山ありますし、課題が山積みですが、
なんだか寅さんの年賀状のようになりそうなので、そっと胸にしまって、
一つ一つ対処していこうと思います。
 
そのようなわけで、今年は少しブログから離れた所で活動する予定ですが、
時々帰ってきますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
皆様のご健康とご多幸を祈りつつ
Best Wishes,
 
まり